小型風力発電の立地

小型風力発電所の立地調査

小型風力発電所の建設用地を探すためには、その土地の風況(風速や風向きなど)シミュレーションを行います。
簡易的な既存データからのシミュレーションに始まり、現地視察を経て風速風向計を設置しての風況データの取得、風況データの解析、発電量のシミュレーションなどの結果と電力会社との系統連系の時期や負担金費用等を考慮した上で総合的に判断していきます。

Step1.NEDOのワイブル係数からシミュレーション

「NEDO局所風況マップ」に座標値を指定して、得られるワイブル係数(各風速の出現頻度を表したグラフ)に 風車のパワーカーブ(各風速での発電量を表したグラフ)を適用して発電量の概算をシミュレーションします。
ここで平均風速が5.5m以下の場合、効率的な発電量が見込まれないと考えられますのでランク分けされます。
Aランク・・平均風速6m以上     小型風力発電所最適地です。
Bランク・・平均風速5.5m以上    小型風力発電所適地です。
Cランク・・平均風速5m以上     調査の上、小型風力発電所適地となります。
Dランク・・平均風速5m以下     残念ながら小型風力発電所適地とはいえません。

Step2.現地調査と近隣調査

1のシミュレーションの結果が良好で小型風力発電所として発電が見込まれる場合、現地の地形状況や近隣の状況を調査します。
 ・地形情報  近代土木技術は発展しましたが、あまり険しい地形ですと造成工事に多大な費用が見込まれる場合
        は不可となります。
 ・風況情報  傾斜の角度や立木による乱気流が発生する地形であるかを調査します。
 ・設置情報  小型風車を設置するためのクレーン車が通行できるかや、建設資材を搬入するためのルート情報
        を調査します。
 ・周辺情報  近隣に住宅地があるかやその影響する距離を調査し、単相200Vの送電線の状況も調査し電柱番号
        を確認します。

Step3.土地地権者との交渉

1、2のシミュレーションの結果が良好で小型風力発電所として発電が見込まれる場合、土地の賃借・売買についての条件を話し合い、計画土地が適正価格で利用できるかを確認します。

いかにその土地が小型風力発電所用地として適地であっても、利用するための土地価格が適正価格でないと事業化することができません。
 借地の場合は売買価格の200%が固定買取価格期限の20年間の地代と言われておりますので、店舗や工場のような土地価格では不可となります。
 また、小型風力発電書の場合は1基あたり4m×4mの基礎部分が利用取り最小面積となり、複数基建設する場合は15m~25m間隔を要しますので、 空地率は90%以上となることから平地での農作物の耕作等を併用して行うことを考慮した土地利用を行っていくことも可能となります。


Step4.設備認定の申請・電力会社への事前協議開始

ここまでのステップが問題なく進んだ場合に経済産業省への設備認定の申請と、電力会社への系統連系接続のために事前協議をスタートします。
2015年より、経済産業省への設備認定の申請には土地地権者からの同意書が必須条件となりましたので、前段の土地地権者からの賃借或いは売買の承諾が 取得できたところで申請に必要な「同意書」を頂きます。

設備認定の申請には、Step2で調査した結果を元に何kWの風車を何基建設するかを検討しておりますので、小型風力発電書の場合は総計20kW未満の出力で発電所計画を行います。
電力会社へは同様にStep2で調査した送電線の状況を元に事前協議を行い、系統連系可能か否かの結論を待ちます。

Step5.風速計の現地設置による風況実測調査

現地への風速・風向計の設置により、より詳細な風況調査を約6ヶ月~12ヶ月間実施します。
大型風車の場合は最低でも1年以上の期間をかけて現地風況調査が義務付けられていますが、小型風車の場合は必要ありません。
然しながら事業として最低でも数百万円を投資することになりますので、弊社では6ヶ月以上の現地風況調査を行い、Step1で調査した結果と検証します。

風速・風向計の高さは実際に建設する小型風車と同様に地上10mに風速・風向計を設置し、10分間刻みに観測されたデータはデータロガーに蓄積され、1~2ヶ月毎にデータを取りに行きます。
受け取ったデータをチェックし、週ごと、月ごとの集計を取り、実測値によるシミュレーションを行います。

Step6.設備認定の認定・系統連系承諾の承認

経済産業省への設備認定の認定機関は概ね2ヶ月~3ヶ月で取得可能となります。
電力会社からの連系承諾を得るには、事前協議で約3ヶ月の期間を要し、本申請から営業所管轄の工事負担金までの期間がさらに3~4ヶ月間が必要となります。
工事負担金を支払った後、電力会社では外線工事や引き込み工事をおこないますが、現在のところ6ヶ月前後の期間が更に必要になり、 トータル的には申請から系統連系接続日までの期間として10~13ヶ月の長い期間が必要になってしまいます。

 これが小型風力発電所建設までのStepです。


小型風力発電に最も適した土地とは

風況としては平均年間風速6m/s以上の風が吹き、土地の形状は平坦地が望ましく、 近隣に木や森、ビルなどの遮蔽物がなく、住宅などのない土地が最適地となります。

風況としては年間平均風速が6m/s以上あると発電量カーブも上昇するため、最適地となります。

風向きも一定方向から長時間吹く風が発電効率を上昇させます。短時間で風向きが変わる場合は、風車が風を捉えて発電開始するまでのロスが出ることから有効な風とは言えないのです。

土地の形状が平坦地に近いほど地形の影響を受けないため乱気流が無くなるのです。乱気流は風車にとって悪影響を与えます。

近隣に遮蔽物があると風向きが変化したり乱気流の発生原因にもなります。その為近隣の木々は伐採しますがそのコストが必要となり事業費が嵩む原因となります。

小型風車のため騒音は少ないですが、全くないとは言えませんので、近隣に住宅などの生活環境がない方が望ましいと言えます。

しかしそんな土地などあるのか?とお叱りを受けそうですが、わたし達は地道に小型風力の適地を探し出し、太陽法発電所に変わる新しいエネルギー源としての風力発電所建設を行っていきたいと考えております。